幼少期の子どもたちにキャンプが必要な理由
親は子どもの能力を過小評価している
野外教育の先駆者である飯田稔先生(現びわこ成蹊スポーツ大学副学長)は、1969年より5歳児の3泊4日のキャンプを実験的に実施し、75年からは4泊5日で開催しています。当時参加させた5歳児の母親へのアンケートで「集団の中で友達とうまくやっていけるか」「荷物が大きすぎる」「風邪を引く、疲れる」「ひとりで自分の荷物を整理整頓できない」「親と離れて生活する」「テントで泊まる」といった不安が続きました。また、自分の子どもが重い荷物を持ってどのくらい歩けるか尋ねたところ、1km、2時間が限度であろうという意見が多かったそうです。しかし、飯田先生のキャンプでは幼児に7〜10kmの登山をさせていますが、今まで参加した1,200名の子どもたちの中で落伍者は一人もいなく、全員がやり遂げました。また、仲間に入れず完全に孤立している子どもや、健康・体力や生活習慣・行動・恐怖心などが原因で家へ帰らなければいけないといった子どももいなかったそうです。つまり、母親が思っているよりも、子どもたちは高い能力を持っていて、かなりのことができるし、親は子どもの能力を過小評価しているとしています。
幼児期は体験やカラダを通して、気がついて覚えるのが大切
次に日本野外教育学会理事で明治大学教授の星野敏男先生(私どもの第1回長期キャンプの助言指導者)によると、幼少期は認識力を急速に獲得してゆく時期、つまり言葉の意味がよく分かるようになる時期です。人や自然にかかわる言葉を概念として理解することは、この幼少のころに身につくのではないかといっています。3〜5歳児の間に自然体験を豊富にさせておかないと、言葉の意味を具体的な概念として理解できていかないのではないか。物事を知るには、知識として知っていくのと、体験を通して体で覚える方法がありますが、幼児期に体験や体を通して、気がついて覚えるというのが大切であるとしています。日本は世界の中でも有数の自然がある国だが、子どもがあまり自然体験をしていない数少ない国のひとつでもあります。それを変えなければいけない。キーワードは母親です。子どもを自然体験の場に預けるという文化を作っていく必要がある。そしてなによりも子どもが主役で子どもが自由に自然の中で遊べるという状況を作ることが大切です。すべての原点は子どもが群れて遊ぶ場があるというとことにあるとしています。
※以上、詳しくは、平成18年度文部科学省委託事業「幼少期における自然体験活動の必要性と効果について考える」シンポジウム(CONE主催)をご参照ください。
さて、湘南自然学校のキャンプでは・・・

私ども湘南自然学校でも、2000年の開校時から「4歳からの冒険だ」を合言葉に年少幼児のお子様から3泊、4泊とお預かりしております。当初、幼稚園の先生からは、「1泊のお泊り保育でも大変なのに4泊もできるの?」といった意見を多くいただきました。確かに、昨日4歳になりましたというお子様の場合など、付きっきりで世話をしなくてはならなく目を離せないので、そういう意味では確かに大変です。しかし、4歳児なりに日を追うごとにたくましくなっていきます。お母さんが恋しくて泣く回数も減っていきます。グループ内では、すぐにお友達を作ることもできるようになります。もちろんすぐにけんかもしますが。花や虫、川や星に興味を持って眺めていたりもします。
私どものキャンプで、現在、ジュニアリーダー(高校生)をしている子どもたちのほとんどは、4歳からキャンプに続けて参加してきた子どもたちです。まんまと「キャンプマジック」にはまってしまったのです。それほど幼少期に体験したキャンプは彼らにとっても送り出したお母様にとっても、インパクトが非常に強く、キャンプによる効果があったのだと思います。また、以前キャンプで幼児たちと星を眺めていたら、ある子が言いました。「このプラネタリウムきれいだね」と、まさに星が降るような満天の星空で、その子はプラネタリウムと勘違いしたのです。このように、本物の自然を子どもたちに見せることが必要です。生物学者レイチェル・カーソンも言っています、「知ることは感じることの半分も重要ではない」と。まさに自然は偉大な教師です。ぜひ、幼少期に自然体験の場をお子様に与えてあげてください。